2004.12.11

 千葉市内には建設後30年以上経過する大規模団地が急速に増加しつつありますが、これらの団地の再生手法についての小林先生の講演「第3回千葉市マンションセミナー」が12月11日(土)、千葉県労働者福祉センターにて行われました。

 講演では、昨年度に行われたセミナーの要点を復習しつつ、本年度行われている研究の成果を踏まえた内容が盛り込まれました。
 郊外の団地では、従来検討されていた「等価交換型」の建替えは不可能であり、今後は再生の方法を棟ごとに判断し、自力によって行う「棟別建替え(再生)」が基本になると説明。また、建替えを検討するにあたり、その手法として

1.2棟を一緒に建替える「2棟共同建替え」(共同型)
2.団地内の空き地に新たに住棟を建てる「ころがし建替え」(新設型)
3.戸数を減らして建替える「減築建替え」

という考え方を提示し、今後人口が減少することが予想され、地価も下落傾向にある郊外において、最も合理的な団地建替えは「減築」+「ころがし」による建替えであるという研究室でのこれまでの検討結果を発表しました。

 また、賃貸化が進み、空き住戸が目立つ団地に対して、空き住戸の共同経営の可能性についても提案。郊外団地では高齢化が進み、活力が低下しつつあることから物理的な(ハード的な)老朽化への対応だけでなく、ソフト的な対応も同時に必要であることを説明しました。

 講演後の会場からの質問では、具体的な団地再生の進め方の方法や、今回発表された再生手法が適応可能な団地とは、といった内容が寄せられました。

 郊外の分譲団地における建替えについては今のところほとんど実例がなく、今後ますます問題が深刻化することが予想されます。講演には千葉市内の団地の管理組合の方が多数参加され、その真剣な表情からも問題の緊急性が伺われました。

(報告 修士 戸村)


<前のNews
次のNews>