癌と余命を生きる 肝内胆管癌ステージⅣ

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再び温泉療養-治療終了への覚悟

○温泉療養の再開とその効果

 4月を迎えて体調を維持していることから、温泉療養を再開することにした。群馬の釈迦の霊泉で入浴した後、水上山荘で1泊するというコースだ。昨年9月は痛みが数日消えて効果を実感したが、今回はどうだろうか。

 出発は4月10日。確かに旅行中は痛みが和らいだ。翌11日はロープウェイで天神平に登り、昔登った谷川岳を仰ぎ見た。さらに帰りは、群馬からつくばの自宅まで一人で運転したが背中の違和感はなかった。効果はあったようだ。

 しかし、帰宅の翌日は疲れもあり、やや体調が悪化した。やはり癌が進行しているのだろうか。それでも、1泊2日を通して快調であったことは嬉しい。
 一方、大きな効果があったのは同行した妻のほうであった。

○温泉ミストで妻の喘息が止まった

 妻は、私が癌になった心労から体調を崩すことが多かった。旅行初日も、昼間の入浴で湯冷めしたのだろうか、夕方に体調を崩して喘息を再発した・・・心配だ。

 もちろん翌日の朝風呂は取りやめ、帰りに立ち寄る予定の釈迦の霊泉では、妻は、待合室で休む予定としていた。しかし、その場で急に入浴を思い立った。「温泉水を霧状にしたミストサウナがあり喘息に効きそうだと思った」とのこと。

 そして驚くことが起きた。喘息がぴたりと止まったのだ。もちろん元気も回復し、帰宅後も健康を維持している。温泉水の効果か、それともミスト状の水分そのものの効果かは分からない。事実として記録しておこう。

○4月18日の検査結果は一進一退

 4月18日は通院日。血液検査の数値は、まだら模様だ。CA19/9腫瘍マーカーは、前回の16万から10万に改善している。昨年12月頃の水準まで回復したわけだ。しかし、肝臓の機能を表す数値は全体に悪化している。新しい治療方法は、胆管癌には効果があるが、転移した肝臓癌には効きにくいのだろうか。

 そこで5月早々にCT検査を行い、治療を続けるかどうか判断することになった。

 実は、この日は久しぶりに妻が同席した。検査結果により、治療が打ち切りになる可能性があったためだ。しかし、結論は3週間後に持ち越された。

○妻のおかげで治療終了でも前向きになれそうだ

 診察時の会話。私「現在の治療が打ち切りになると、そのほかの治療方法はあるのでしょうか」。S医師「他に治療方法はないのです。その後は緩和ケアということになります」。

 妻「今は元気なのですが、しばらく大丈夫でしょうか」。S医師「癌の特徴は急に体調が悪化することです。ゴルフを楽しんでいた方が2週間後に亡くなった例もあります」。

 その言葉に妻は再び落ち込んだようだ。診察後に少し涙ぐんでおり、私は連れてきたことを少し後悔した。

 しかし、それは杞憂であった。帰宅後に妻は気持ちを切り替え、緩和ケアになった後も癌と共生して長生きする可能性を調べ始めた。実際そのような方はおり、むしろ抗がん剤の副作用の方が寿命を縮めることも少なくないという。希望の光は、食事療法による体質改善が癌治療に効果があるという論文が査読を通り発表されていたことだ。

 妻のおかげで、緩和ケアになっても前向きに温泉や食事療法に取り組みながら、生活に仕事に全力を尽くす覚悟が生まれたように思う。


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