癌と余命を生きる 肝内胆管癌ステージⅣ

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抗がん剤の延命効果を実感

○3剤併用の抗がん剤が効いた!

 2021年7月7日から抗がん剤治療を開始したが、その効果について、腫瘍マーカーCA19-9の数値(下図)と、CT画像による評価(S医師の説明)でたどってみよう。

 最初に腫瘍マーカーを測定したのは1ケ月ほど経過した8月16日。数値は9万4千と大きく悪化していた。ただ、6月7日以降は測定していないため、恐らく7月7日時点では15万程度に悪化し、それから治療により9万台に低下したのではないだろうか。

 その後、数値は下がり、9月16日に3万6千と最小を記録した。9月21日にCT撮影があり、S医師は「癌の影が薄くなっています。治療の効果がはっきりと現れています」。
 嬉しい・・・この頃は体調も良く、旅行も心おきなく楽しめた。抗がん剤の進歩に感謝しつつ明るい気持ちであった。

○じわりと癌が悪化し始めた

 しかし、その後じわりと数値が悪化し始めた(上図)。11月12日のCT撮影の結果は、微妙なものであった。S医師「胆管癌は、さらに小さく影が薄くなっています。抗がん剤は効いています。しかし、肝臓に転移した癌が大きくなっています」。朗報は、腎臓や膵臓には、癌の浸潤はみられないことであった。

 転移した癌は、元の癌の性質を受け継いでいるため、同じ抗がん剤が効くはずという。気になった私は、「肝臓癌は転移したものではなく、原発性ということはありませんか」と尋ねた。S医師「原発性の癌が、偶然同時に発生することは、めったにありません。しかし、念のため、血液検査で確認してみましょう」。

 その結果は、肝臓癌に反応する腫瘍マーカーのAFPとPIVKA-ⅡFは、いずれも正常値であった。肝臓は転移した癌に間違いがない。原発性であれば別の化学治療がありうるが、転移した場合は今回の抗がん剤しかないという。残念だが、肝臓には効きにくいようだ。

○10月から12月にかけて体調はよかった

 癌が悪化しはじめた秋頃の体調は、9月頃と比べて大きな変化はなかったと思う。
 抗がん剤の点滴から1週間は、副作用による吐き気や膨満感が強く仕事に支障がでるが、次第に慣れてくる。その後は休薬期になる。この頃の体調はよく、軽登山を楽しんだり、長距離を運転して温泉に出かけたりした。時々、右背中に痛みを感じたが、仕事や生活に支障になるほどではなかった。

 変化が生じたのは、12月に入ってからだ。日記をみると、12月2日から寝汗をかくようになったとある。S医師の話では、腫瘍熱とのこと。また、右脇腹や背中の痛みがやや強くなり、12月7日からロキソニンを飲むようになった。幸い、飲むと痛みはしばらく消えた。

○12月9日に抗がん剤の中止を相談

 癌が悪化したことを踏まえて、12月9日の点滴日に、今後の治療方針の相談があった。S医師「そろそろ抗がん剤が効きにくくなっています。ちょうど、当院で新しい治験が始まりますので、そちらに移行するという選択もあります」。治験は、ノーベル賞をとられた本庶先生が発見した免疫療法と同種らしいが、詳しくは分からない。副作用や効果など未知のことが多いという。

 私「抗がん剤が効かなくなれば、限られた命です。新しい治療方法を試してみたいと思います」。S医師「必ず効果があるわけではありません。効果が出る方は2~3割程度かもしれません。ご了承ください」。

 最終決定は、12月17日にCT検査を行い、その結果をみて判断することになった。

○12月17日のCTで治験への移行を決定

 12月17日にCT画像を撮影し、当日中に診察があった。S医師「やはり肝臓に転移した癌が大きくなっています。抗がん剤は中止して治験に移行しますか?治験が合わなければ、抗がん剤に戻すこともできます」。私「分かりました。治験をお願いします」。

 最後の投薬から治験開始まで1ケ月開ける必要があるそうだ。このため、治験開始は1月14日と決まった。その間は治療無しになるが仕方ない。抗がん剤の副作用なく年末年始を迎えられると、前向きに考えることにした。

 S医師「治験前の1月7日にCTとMRIを撮ります」。その後、臨床研究コーディネーターの方との面談があり、詳しい参加条件や副作用の説明を伺った。

 年明けの治験の経過は、守秘努力があるため記載することはできないが、治療生活の様子は差し支えない範囲で紹介したいと思う。

○無治療期に腫瘍マーカーが跳ね上がった

 1月14日までの1ケ月は「無治療期」になる。この間に、腫瘍マーカーの数値が跳ね上がった。12月24日に11万だった値が、1月14日には、なんと29万になっている。実に2.5倍だ・・・愕然とした。

 抗がん剤は、癌を縮小できない場合でも、癌が悪化するスピードを抑える効果があるようだ。延命に効果があることを実感した。

 実は、この無治療期に温泉療法や食事療法など癌に効くという取り組みに努力したが、数値の悪化をみると、それら単独での効果は確認できないようだ。やはり、抗がん剤等の標準治療が基本となり、それを補助する取り組みであると思う。

 <2022年5月追記> 抗がん剤により癌の耐性が増して凶暴化する(悪化が加速する)ことがあるそうだ。このため、いつ抗がん剤を中止するかの見極めが大切で、私の場合はぎりぎりのタイミングであったようだ。12月以降に抗がん剤を続けていても延命効果は失われていた可能性がある。
 温泉や食事療法の効果は、もう少し長い目でみて判断する必要がありそうだ。



宝筺山に軽登山・10月