HIDEKI'S COLUMN 2005
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2005.1.20 「花のまちづくりと住まい」 身近な緑の意外な効果 都市で増えているマンションでは、花を楽しむ場所が非常に少ないのが現状です。 廊下もベランダもコンクリートですし、団地の中庭に勝手に花を植えてはいけないと言われたりします。しかし、そうしたなかにも手がかりはあります。私は建築学の立場から住宅づくりに取り組んでいますが、住宅における花のまちづくりにどんな可能性があるか、ご紹介します。 家の前の廊下に植木鉢をおいてみると、それらの植木を手入れするために家の外に出ていくことで、近隣の人々との顔見知りになるチャンスが生まれます。また、画一的なマンションでは、玄関まわりに植物を置くことで、自分の家だという愛着が生まれ、団地の管理にも熱心になるという効果も実証されています。 マンションの殺風景な玄関まわりが花いっぱいになると皆が誇りを持ち、地域の愛着に広がります。それがひいては、地域の防犯性を高めるというデータもあります。というのも、植木鉢が置かれた場所では顔見知りになりやすく、犯罪者と隣の人を見分けることができるからです。アメリカの調査によると、家の前に花や植木鉢が置かれていると、「ここの住民はきっと世話好きで、外で何か起きれば飛び出してきてくれるだろうし、犯罪が起きれば、すぐ警察に通報してくれるであろう」という印象を与えるという結果が出ています。おそらく日本でも同じことがいえるでしょう。 建築設計の工夫 しかし、廊下に植木鉢を置くスペースがないというマンションも数多くあります。「避難通路だから置いてはいけない」と消防署に指導されれば、管理組合は「植木鉢を片付けてくれ」と住民に言わざるを得ないのが現状なのです。 ところが、ちょっとした玄関ポーチを設けたり、窓枠に植木鉢がつり下げられるようにしたり、わずかな配慮をするだけで違うのです。また、たいていのベランダには水洗がなく、植物にかける水を部屋から運んでこないとなりません。しかし、私たちが設計した例では、ベランダに水洗を付けてベランダの幅を2メートルほどに広げたら、それだけでも緑が増えたのです。 また、大がかりな工夫としては、ライトコートという光の井戸から玄関ポーチに光が入るようした例があります。光が入れば当然植木が育ちますから、おのずと草花が増えてきます。 また、マンションの廊下は北側にあることが多く、植物が育ちにくいのですが、南側に廊下をつくった例もあります。そうすることで、廊下には植木鉢を置く花台がすえられ、マンションとは思えないほど緑が多くなりました。 こういう設計だとプライバシーが気になるのではと、建築学でもまだ手探りの段階ですが、予想以上に住民の評価が高いので、こういうケースは今後も増えていくだろうと思います。 (以下省略) ライトコートにより玄関まわりに光を入れたマンション |
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