2004.8.30

ナワバリ学の教え7 大家が近くに住むアパート経営のよさ
(全国賃貸住宅新聞2004.8.30)


昔のアパート経営では、庭先アパートと称するように、近くに大家さんが住むタイプが多かった。このタイプは、若者単身者がスムーズに地域社会に入り込むためには、大変優れた日本の知恵であった。

投資型ワンルームの問題

 ワンルームマンションの反対運動が頻発している。その理由の一つとして、ワンルームの居住者は、「得体が知れない」「ゴミ出しマナーが悪い」「自治会に入らない」というように地域住民から嫌われることがある。しかも、投資物件として売られるワンルームは、大家さんが近くに住んでいるわけではない。地域住民との接点が無いのである。

庭先アパートの良さ

 一方、庭先アパート経営では、大家さんを介して若者単身者が地域に入り込む(図)。地域住民からみると、ゴミ出しマナーが悪ければ、大家さんを通して容易に注意できる。逆に若者単身者からみても、大家さんを通して、地域の情報を知ることができる。うまい仕組みといえよう。

ナワバリに迎え入れる

 ナワバリ学よれば、地域に長年住んでそこを自分達のナワバリにしている人々は、そこに無断で入り込む人々を排除しようとする。もちろん、都市に住むことは自由だから実際に排除できるわけではない。そのような心理が生まれるという意味だ。

ワンルーム問題の背景には、このような心理が存在する。これに対して、庭先アパートでは、大家さんという地域住民を介して若者単身者がナワバリに入り込む。これならば、暖かく迎え入れることができるのである。

管理人が大家代わり

 では、大家さんがいないワンルームはどうしたらよいのか。その場合は、常駐の管理人が大家の代わりをするとよい。巡回ではなく、地域社会とつながりをもつような管理人であることが望ましい。そうすれば、庭先アパートと同じ仕組みを実現することになり、地域住民と若者単身者の混ざり合いも円滑に進むはずである


若者単身者(●)と地域住民(○)の関係