2004.8.23

ナワバリ学の教え6 若者とファミリー世帯が地域に混ざり合って住む
(全国賃貸住宅新聞2004.8.23)


アパートには若者単身者が多く住む。彼らにとってアパートはネグラにすぎず、地域社会には無関心というのが普通だろう。しかし、このような単身者ばかりの街になると、犯罪を抑止する力が弱まり、荒れた雰囲気になりやすいといわれる。では、どうしたらよいだろうか。

閉鎖型のライフスタイル

 ナワバリ学では、居住者のライフスタイルを図の4つに分けている。

 「開放型」は、近所付合いに積極的で、生活も開けっぴろげなタイプ。下町のイメージだ。「社交型」は、近所付合いは大切にするがプライバシー重視のタイプ。山の手のイメージだ。「自律型」は、社交型とは逆のタイプで高齢者に多い。そして、「閉鎖型」は、近所付合いに消極的で、窓や玄関を閉め切った生活をするタイプ。若者単身者が典型だ。

アパートが多い街の失敗

 開放型や社交型は、地域に定住する人々や子育て世帯に多い。彼らは、地域を自分たちのナワバリだと思い、道や公園の掃除を行い、犯罪があれば迅速に対処しようとする。つまり、地域の環境を自ら守ろうとする。

一方、閉鎖型の人々ばかりが住む街はどうだろうか。ある大学近くの区画整理地では、地主がアパート経営は儲かると一斉に乗り出した結果、学生アパートばかりになった街がある。そこではゴミが風で散乱しても放置され、荒れた雰囲気になっている。この地域は、区画整理の直後は人気が高かった。しかし、学生アパートが林立した結果、肝心の土地の価値を下げてしまったのである。

混ざり合って住む

 街の環境を守るためには、そこに住み続ける開放型や社交型の人々が重要な役割を果たす。アパート暮らしの単身者は、その中に混ざり合って住むことが望ましい。しかし、ワンルーム反対運動にみるように、両者には摩擦もある。どうしたらよいのだろうか。この問題を解決する鍵は、実は、昔ながらの大家さんの役割にある。次回に詳しくみてみよう。

地域におけるライフスタイル