2004.06.16

(朝日新聞2004年6月12日夕刊一面 ワンルームマンションに対する自治体の規制を取り上げた記事 「急増するワンルームマンション 建設規制 都心で次々」について)


要点をうまく整理したよい記事です。ぜひ一読のこと。

この問題は、私が「集住のなわばり学」(彰国社刊 1992)で扱って以来の関心事。大学院修士のディベートでも取り上げたテーマです。

最近、多くの取材を受けました。その理由は、私が東京都豊島区のワンルームマンション税の専門委員を勤めているためでしょう。そこで口をすっぱくして言っていることは、ワンルーム規制には二つの背景があること。しかし専門家と称する方でさえ、それを区別していない場合が多いのです。嘆かわしい...。

その二つとは、一つは、ワンルームマンションが、地域社会から迷惑施設として捉えられている問題です。ゴミ捨てマナーの不徹底や、得体の知れない人が住んでいることへの不安です。しかし、これを条例や課税で排除するのは明らかな間違い。排除ではなく、管理の指導などで対処すべきものです。何故って、単身者も家族世帯も混ざりあって住むのが都市のあり方。そんな理由で単身者が排除されては、わが学生連中も住むところに困ってしまいます。

もちろん、限られた地区内で、全員が建築協定などで同意するならばワンルームの排除も可でしょう。それは、土地利用の制限を、本人自身が納得して行うからです。しかし、条例や税金は、本人の納得とは無関係。まったく「筋」が違います。

その一方で、規制が許されるもう一つの理由とは、ワンルームが増えすぎて、自治体の人口構成にアンバランスが生じる場合です。ファミリー世帯の比率が低下しすぎると、自治体運営に支障が生じることは明白でしょう(詳細は略)。しかも、住宅は一度建設されると長期に存在し、地域の人口構成を固定化してしまいます。

東京豊島区は、東京都でもっとも狭小住宅の比率が高い自治体です。ですから、権利者やワンルーム業者の意思を無視しても、私権制限が許されると私は考えています。

 皆さん、この二つの違い、どのように考えますか。

参考)

豊島区公式ホームページ

【狭小住戸集合住宅税(通称 ワンルームマンション税)について】(掲載終了です)
http://www.city.toshima.tokyo.jp/sinzei/gaiyou.html