Project

テーマ日韓におけるコ・ハウジング研究

    Study on the Co-Housing in Japan and South Korea

 

 

1.研究の背景

コ(Co-;共同の; 共通の)・ハウジングには、居住様式や住形態によって様々な方

式がありますが、本研究では日本のコーポラティブハウジングとコレクティブハウジン

グ、またコーポラティブ方式に類似な韓国の同好人住宅を中心的に取り上げ、分析を

行います。

 日本のコ ・ハウジングは北欧やアメリカから導入され日本独自の発達を続けていま

すが、土地の確保、銀行融資の制約、ユーザーの管理の難しさなどの多数の問題点

があります。しかしながら、コーポラティブハウジングは1968年第1号の建設以来、20

03年現在8135戸まで増えつつあります。一方、コレクティブハウジングは1995年の阪

神・淡路大震災後に全国で始めて事業化された公営コレクティブハウジング(通称「ふ

れあい住宅」、10プロジェクト341戸)があり、2003年 現在公営コレクティブハウジング

543戸に至ります。また、民間ディベロッパーにより、サンセゾン? ?1998年2月入

居)、芦屋17℃(2002年6月入居)、コレクティブハウスかんかん森 (2003年6月入居

)が建設されました。

 

 

 

 

 

 

 


写真1 コーポラティブ住宅つなね      写真2 あじろぎ横丁

 

一方、 韓国の同好人住宅は90年代初期に何件が都市部に建てられ関心を集めま

したが、高い土地の値段や土地探しなど様々な問題が起こり、また特定の階級や職

を持つ人々のための住宅として認識されその後建設は広がらなかったです。しかし、

IMF救済金融を受けた直後の1998年以来、 投資概念と田園生活を同時に満足させ

たいというユーザーの希望に応じ、 田園型同好人住宅の建設が増加しています。さ

らに、国家の21世紀住環境政策「第4次国土総合計画(20002020)」として同好

人住宅の促進計画も加え、建設が加速すると予想されます。しかしながら、コーポラ

ティブ方式の概念を導入した住まいづくりは初期段階であり、土地購入の難しさ、 ユ

ーザーのプロセス(設計〜完成)に対する不理解と参画の程度問題、専門家の不在

等、いわゆる韓国独自のコ ・ハウジング開発に関する研究が十分になされていない

状況です。

 

 

 

 

 

 

 


写真3 コレクティブハウスかんかん森   写真4 真野ふれあい住宅 

 

そこで本研究では、 住居における伝統的形態や高度経済成長期以降の変容

過程について類似点が多い日本と韓国のコ・ハウジングにおける問題点を比較

・検証し、 この結果に基づき日韓および東アジア地域における住民主導型住宅

の可能性について模索します。

 

2.研究の目的と方法

本研究の目的は、住民が主体的に住宅供給を行う日韓のコ・ハウジングにお

いて、住民参加の仕組みづくりと住宅供給体制づくり、 および計画・設計段階か

ら運営・管理までのプロセスをフィ ールドワーク調査によりユーザーと建設業者

の立場から分析し、両者間のコミュニケーションツール・建築計画手法を開発す

るものである。さらに、さらに、このツールを用いて今後の東アジア地域における

住民主導型(USER-ORIEN TED)住宅の可能性を模索することにあります。

 

3.研究内容および計画

@平成15年度

平成15年度は、韓国のコ・ハウジングのデータ、日本と北欧のコーポラティブ等の既

往研究データの分析および研究方針を確定するためのフィ ールドワークの予備調査

を行うことを目的として研究を遂行しました。具体的にはコ ・ハウジングにおける入居

前 の設計から完成までのプロセス、 入居後のコミュニティ形成の管理上の課題等を

重点的に分析し考察を行いました。併せて、次年度のフィールドワークのための予備

調査を行いました。

A平成16年度

前年度の研究により得られた既往データの分析結果に基づき、本年度は日韓のコ・

ハウジングの居住者の同意を得て人権に配慮しつつインタビューとアンケート調査お

よび参与観察調査を行います。加えて、コ・ハウジングに関わってきた企画 ・設計者

を対象に、行政による事業のあり方、住まい手の参加の位置づけ、各種専門家の関

わり方およびその類型、住まい手が主体的に行うことによる障害等についてヒアリン

グし、実施上の課題を整理します。

調査対象地として、韓国ではソウル都心と郊外における同好人住宅を予定していま

す。また、日本では首都圏と関西地域のコーポラティブハウジングと コレクティブハウ

ジングを対象とする計画です。

B平成17年度

 最終年度は、前年度までの研究結果を踏まえ、ユーザーと建設業者が対話する際

のコミュニケーションツールを開発し、台湾の住民参加型住宅の実態調査を行います

これら日本 ・韓国・台湾のアジアの事例を整理しつつ、東アジアの住民主導型住宅

の特性を解明します。

以上の結果から、日韓を中心とした東アジア地域のコ ・ハウジングにおける住民参

加の仕組みづくりや住宅供給体制づくりについて、 設計ツール ・住宅組合法等の法

制度・建設業のビジネスモデルを提案します。

 

      

図1 日韓の一般的(企画型)なコ・ハウジングの事業手順

 

4.研究の成果(→

 

5.研究の近況

本研究は、日本学術振興会の特別研究員奨励費(平成15年〜17年)による研究プ

ロジェクトです。平成1612月に「コーポラティブハウス城山」「埴の丘住宅団地」

「コーポラティブハウス柿生」「方南ビレッジ」「成城アトリエ]X」「コーポラ

ティブハウス十方舎」のヒアリング調査をする予定です。

 

2003.11.25.  韓国建設技術研究院(KICT)主催の国際セミナ1125日)で

で、 小林秀樹先生は「長期耐用都市型集合住宅の建築技術と法制度―SI住宅の

最新動向を中心に―」のテーマについて発表をしました。

2003.12.30.  4年の学部学生たちと一緒に、コーポラティブハウジング 「クラ

フト」の餅つきに参加しました。

2004.3.7.  コーポラティブハウジング 「近衛町アパートメント」(つくば方式)

居住者会議に参加しました。

2004.3.2023.  コーポラティブハウジング 「ユーコート」 ・「塚口コーポラ

ティブハウス」・「あじろぎ横丁」など、関西地域のコ・ハウジング9ヶ所を見学・予

備調査しました。

2004.7.2.  4年の学部学生たちと一緒に、「コーポラティブハウス千駄ヶ谷」

・「OHP No.1」・「コーポラティブハウス柿生」・「経堂の杜」と、神田地域のC

OMS HOUSE」・「SAKURA HOUSE」・「KT HOUSEなど、 関東地域の7ヶ所

のコ・ハウジングを見学しました。

2004.8.89.  コーポラティブハウジング 「カマラドーモ」・「タウン花みずき

」・「栗の木コープ」・「センテナリオ」・「さくらコート」・「初音館」など、京都地域

の6ヶ所のコ・ハウジングを見学しました。

2004.8.31.  北海道で開かれた日本建築学会の論文発表を終え、修士1年の

学生たちと一緒に、「山鼻コーポラティブハウス」を見学しました。

2004.9.15.  韓国建設技術研究院(KICT)で来日したお客さんと一緒に、「メソ

ード?T(つくば方式)・「メソードU」(つくば方式)を見学しました。

2004.10.24.  韓国SILLAUNIVERSITY50周年記念招待され、小林秀樹

先生は「日本のCo-operative方式のSI住宅および事例」、研究員の丁 志映は 「日

本の住まい手参加型Co-Housingの動向」のテーマで、招請講演会をしました。

2004.10.2529.  小林秀樹先生、研究員の丁 志映、修士1年の学生たちと

、韓国の同好人住宅のAKAEMI Town」・SODANGGORU」・CHOROK

U MAURU見学し、ヒアリング調査をしました。

2004.10.30.  大韓建築学会に参加し、研究員の丁 志映は「日本の多世代型

のコ・ハジングのコモンスペースに関する居住者参加研究」について論文を発表しま

した。

 

 

 

 

 

 

 


写真5 AKAEMI Town      写真6 SODANGGORU

 

 

 

 

 

 


写真7 CHOROKU MAURU