一戸建住宅地の
持続可能性


2016.05〜2017継続

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○ 高齢化が進む郊外戸建住宅地をどう活性化?

 



□ 検討の目的

1.郊外戸建住宅地の課題を調べる
2.集会所の多機能化について検討する
3.地域での助け合いの可能性を検討する
4.親子世帯の隣居・近居による世代循環を提案

検討対象は、郊外の戸建住宅団地(戸数5百戸)
駅から徒歩10分〜20分の傾斜地に展開している。
建築後35年以上が経過。高齢化が進行している。
地区計画があり最低敷地面積やアパート禁止等。

集会所の建替え計画を契機として、団地の将来
について検討しようと活動が始まりました。

団地の方々のご協力によりアンケートを実施。
回収率が4割と高く住民のまとまりを感じました。



□ 調査結果の概要

○課題は不便さと子育て支援
 駅徒歩圏ですが傾斜地。高齢化とともに駅前店舗等を遠く感じ車利用が前提になっています。
 豊かな自然環境と住宅地の景観に満足していますが、働く母親を支える子育て支援施設が乏しい。

○地域での助け合いが財産!
 望ましい近所付き合いについて質問した結果は、マンションと明確な差がありました。


ワークショップで「買い忘れを近所の人に頼む」「車を複数で乗りあって出かける」等の声がありました。しかし、高齢化とともに助け合いの将来像をどう描くかが重要になっています。

○親子世帯の同居・隣居・近居に注目!
 多世代が住む持続可能な街に向けて、親子世帯の関係に注目しました。隣居・近居は、親の安心だけではなく子育て支援の役割もあり、郊外戸建住宅地の活性化の鍵を握りそうです。


□ 多世代循環の街に向けた提案

郊外の戸建住宅地と駅前市街地を連携させて、持続可能な街のあり方を提案しました。
 隣居・近居は、団地内だけではなく、次のように団地と駅前の間でも可能。
1.親世帯が戸建住宅地、子世帯が駅前のマンションやアパートに住む
2.親世帯が駅前の高齢者住宅、子世代が緑豊かな戸建住宅地に住む
 このような近居等が基盤にあれば、世代の循環が維持され、それを契機に多様な世帯も入居しやすくなり、多世代が住む持続可能な郊外を描くことができると考えました。



□ 関係者への発表会

2017年7月に関係者に向けて発表会を行い、以下の貴重な意見をいただきました。

○マンションとの違いが明確で驚いた。
 戸建住宅団地での助け合いの大切さを再認識した。
○集会室の建替えとあわせて、
 子育て支援施設が導入できるとよいが。
○近居に同感だが実現するには?
 市町村の近居支援策があるとよいと思う。

団地での助け合いが話題となった一方で、高齢化の進展の中で将来の助け合いを具体的にどうするか、課題も多いことが分かりました。
近居の具体的な支援策や、自助・共助(助け合い)・公助(福祉)のバランス等、さらに研究を深める必要を感じました。(担当:戸村・柴田)



千葉大学工学部都市環境システム学科小林秀樹研究室
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