郊外分譲団地
再生計画


2015.05〜2016

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○ 千葉県の郊外分譲団地の活性化−K団地でのケーススタディ

 



□ 提案の目的

1.様々な再生手法を検討して比較する
2.エレベーター増設方法を検討する
3.団地の建替えの可能性を検討する
4.集会室の改修と機能付加を検討する
5.高齢者住宅棟の新設を検討する

郊外の中層分譲団地ではエレベータがないため、
高齢化により住み続けられなくなるという
不安があることを伺いました。
この問題の解決方法を多角的に検討します。

合意形成と費用負担が可能かどうかが鍵となるため、
事業試算や法律上の合意要件についても提案します。



□ 計画の概要

まず、周辺施設やサービス、交通網を調査し、
将来とも持続可能な立地であることを確認しました。
団地内に住み続けられるを目標に定めました。

1.階段室型でのエレベータ増設は、階段室側または
  南バルコニー側増設など多様な方法があります。
  しかし、戸当たり250万円〜400万円の負担が発生
  することがわかり増設の難しさを知りました。
2.全面建替えは、戸当たり2千万円以上の負担です。
3.一部建替えも、負担額はあまり変わりません。

 郊外ではマンションの分譲価格が安いため、容積率アップによる建替えが、負担額の低減にあまり貢献しないことが分かりました。



□ 新しい提案を検討

団地内に高齢者住宅等を新設する計画を検討。

○団地では、敷地内に1棟新設することは建築的には可能です。その分譲利益により集会室を魅力的に改修すれば、団地全体の3/4以上の所有者の賛成(法律より)がえられるかもしれません。
 しかし、新規棟には土地持ち分が必要です。これについての法律上の定めがないため、持ち分の拠出方法を工夫しないと団地全員の同意が必要なります。一人でも反対があるとできません。
 そこで、次の3方法を検討することにしました。

1.既存棟に増築する形をとる方法
  既存棟は、増築部のエレベータを使えます
  ので、その利点により増築部に土地持ち分
  を提供できないかという新構想。
2.既存1棟を建替え2棟に分割する方法
  現行法の棟別建替え制度に基づき、当該棟
  の4/5、団地全体の3/4で実現可能と想定。
3.既存棟にエレベータを無償で増設する方法
  その代わりに土地持ち分を提供する考え
 (法律に定めない方法で研究中です)

以上の複数の計画案(費用概算を含む)を比較
団地住民にアンケートを回答していただきました。結果は、次年度のプロジェクトへ。



□ 関係者への発表会

2015年11月に団地集会室で発表会を行いました。
居住者の方々が大勢参加され、貴重な意見をいただきました。

○まず、団地に住み続けるという目的を明確にしたい
○5階から低層階に住み替える方法もある
○全面建替えは困難なことを前提として検討を進めたい
○若い世帯を団地に導入しないと将来が不安

これらを踏まえて、次年度も検討を続けています。
団地の皆さんに発表するのは学生では大変なことですが、
とても勉強になりました。
このような機会を与えていただき、ありがとうございました。



千葉大学工学部都市環境システム学科小林秀樹研究室
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