旧東綾瀬団地
住棟リノベーション


2014.05〜2015

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○ 旧東綾瀬団地−古い住棟のリノベーション提案

 



□ 提案の目的

1.新しい住棟リノベーションの方法を提案する
2.住宅組合に払い下げる新方式を検討する
3.土地売却を含めた選択肢と比較しつつ
  成立の可能性を検証する

古い住棟(退去済み)が残る団地の一角について、
土地売却が選択されることが多い現状を見直すために、
住棟を取り壊さずに生かす方法について提案する。

ただし、賃貸需要が満たされている地域であり、
どうすれば新規需要を掘り起こせるかが難題である。

提案については事業試算まで行う。
経営からみた実現可能性を検証することで、
当団地に限らず、
全国の団地再生の参考になる提案を目指す。



□ 計画の概要

周辺施設やサービス・家賃水準・分譲価格等を
丁寧に調査した結果、
ひとり親世帯のシェアハウスと高齢者住宅に可能性。
それを踏まえてリノベーションを提案する。

1.西棟はひとり親世帯のシェアハウスを計画
  子どもの成長の場としての良さ
  ベビーシッターの共同雇用なども可能になる
2.東棟は高齢者住宅、その他を計画
3.駐車場需要は限られており市民農園を計画
  (高圧線下の敷地の利用用途として)

  



□ 事業性の比較

次の4つの方法について事業試算を行いました。

1.建物を取り壊して土地を売却した場合
2.古い住棟を改修して通常の賃貸経営を継続した場合
3.提案のシェアハウス等に改造して賃貸経営した場合
4.住宅組合に払い下げた場合
  土地を定期借地権としコーポラティヴ方式で払下げ
  エレベーターを増設する。安価に持ち家を取得可能
  全戸数の参加者がいなくても、空き住戸は賃貸経営
  で対応できる。
  
土地売却について、敷地に高圧線がかかっているため収益還元による土地価格が相当低いことを確認した(ただし試算では減額分はみない)。30年間の収益比較を行った結果、土地所有者からみた収益は、シェアハウスによる賃貸経営→住宅組合への払下げ=土地売却→一般の賃貸経営の順となった。住棟リノベーションの可能性が十分にある結果であった。



□ 関係者への発表会

2014年10月に団地集会室で発表会を行いました。
自治会関係者や団地経営に関わる方々が参加し、
以下の貴重な意見をいただきました。

○高齢者グループリビングは自ら住む場として興味深い
○すぐに住み替える動機づけは弱いため、
 将来の検討対象ではないか(ユーザーとして)
○団地経営では同様な複数選択肢の比較を行っている
○様々なシェアハウスは選択肢として大変参考になる

引き続き実現を目指して検討を続けています。
詳細な事業試算まで踏み込んで提案をした経験は貴重なものとなりました。



千葉大学工学部都市環境システム学科小林秀樹研究室
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